歯医者へ行くのを怖がる子供はたくさんいます。
きっとあなたの子供も、歯医者へ行くときには強い抵抗を示すことがあるでしょう。
稀に嘔吐反射をする子供もいます。
そんな姿に親は、「乳歯が抜けたらきれいな永久歯が生えてくるし、行かなくていいか」と考えてしまいがちです。
しかし、乳歯の虫歯を放置することは、痛みを長続きさせるだけでなく、永久歯に多大な影響を及ぼします。
正しい知識を身につけて、虫歯を予防できるように心がけましょう。
ここでは、乳歯の虫歯と永久歯への影響について解説していきます。
子供が歯医者を怖がる理由
そもそも子供が歯医者を怖がってしまう心理には、2通りの原因があります。
未知の場所を訪れる不安と恐怖心
はじめて親戚の家を訪れる際に、泣き出してしまう子供がよくいます。
それと同じ理由で、歯医者がはじめてという赤ちゃんは、いつもと違う環境に不安を感じてしまうのです。
歯医者に対するイメージと先入観
子供向けの本やアニメでは、歯医者=怖いものという図式で描かれることがあります。
家庭でいたずらをしたときや言うことを聞かないとき、「病院で注射してもらうよ!」と、しつけてしまうこともあるでしょう。
こうした経験を通じて子供の中では、小児歯科とその先生、歯科衛生士までもが恐怖の対象となってしまうのです。
大人になっても歯科医院・歯科治療への恐怖が残り、針や麻酔液の苦味、ドリルの音などにトラウマを感じる、「歯科治療恐怖症」となってしまうケースも少なくありません。
乳歯の虫歯は放置しても大丈夫はウソ!
たとえ乳歯が虫歯になっても、結局抜けて永久歯が生えてくるから大丈夫…。
なんとなくそんなイメージを持っている方が多いようです。
たしかに、乳歯が虫歯でも永久歯はきれいな状態で生えてきますので、そのような印象を持ってしまうこともうなずけます。
しかし実際には、乳歯の虫歯は永久歯の不良だけでなく、歯並び、歯の寿命にまで影響を与える恐ろしいものです。
乳歯の虫歯は、決して放置しないように注意してください。
乳歯の虫歯が「永久歯」に与える4つの影響とは
乳歯の虫歯は、その下から生えてくる永久歯に大きな影響を及ぼします。
単に虫歯が感染するだけでなく、歯並びが悪くなったり、傾いて生えてきたりすることもあります。
どんな影響が現れるのかを知り、具体的な対処につなげていきましょう。
永久歯に虫歯菌がうつる
乳歯についた虫歯菌は、その下から生えてくる永久歯にも感染してしまいます。
はじめから虫歯になってしまった状態で、歯茎の下から生えてきてしまうのです。
それだけでなく、隣接する歯をはじめとする口内のほかの歯にも感染し、虫歯菌だらけになってしまう可能性があります。
歯並びが悪くなってしまう
虫歯によって乳歯の形が崩れたり、あまりにも早く抜けてしまうようなことがあると、歯並びに影響が出てきます。
というのも、乳歯には永久歯が生えてくるスペースを確保し、生えやすい環境を整える役割も担っているからです。
永久歯がまだ未熟なのにも関わらず、虫歯によって乳歯が欠けてしまうと、永久歯がきれいに生えてくることができません。
そのうえ、両隣の歯が穴を埋めるように倒れてきてしまうため、全体的な歯並びが悪くなってしまうのです。
歯が曲がって生えてきてしまう
虫歯菌が乳歯の根っこにまで到達し、発育中の永久歯にも影響を与えることになります。
ときには永久歯そのものが傾き、斜めになって生えてきてしまうこともあります。
歯の形成不全が起こる
乳歯の根っこにまで虫歯菌が感染している場合、永久歯は完全な形で生えてくることができません。
炎症が発育を阻害してしまい、完全な形の永久歯になることができなくなるのです。
いびつな形になったり、生えてきた瞬間に黒ずんでしまう可能性もあります。
虫歯だらけの歯を放置した結果
乳歯の虫歯を放置すると、どうなってしまうのでしょうか。
結論を先に言うと、残念ながら永久歯への生え変わりにともなって、虫歯がリセットされるということはありません。
生え変わりが近い乳歯であっても、治療が必要となるケースもあります。
虫歯治療が必要になる場合も
乳歯の虫歯を治療する際には、下から生えてくる永久歯への影響も考えなくてはいけません。
たとえば、生え変わりを目前に控えた乳歯の場合、あえて治療を行わないこともあります。
しかし、虫歯菌が神経にまで達している場合、生え変わりが近くても治療を施します。
そのままにするか治療にするか、治療内容や治療法については、歯科医師の指示を仰ぐようにしてください。
最近ではさまざまな治療法がある
虫歯治療というと、患者としては「痛くて辛い…」というイメージがつきものですが、最近では、痛みが少ない治療や「無痛治療」を行っている無痛治療歯科医院、治療期間を短くする「短期集中歯科治療」を行う歯医者があります。
また、不安をやわらげる「笑気麻酔」、基本的に大人を対象とする「静脈内鎮静法」「全身麻酔治療」のような無痛治療に取り組む歯医者も存在します。子供に対しては、局所麻酔注射の前に塗る「表面麻酔」を扱っていたり、丁寧な説明やカウンセリングを実施していたりと、その工夫はさまざまです。
※麻酔は麻酔医が必要な場合もありますが、麻酔研修で経験を積んだり、既定の講座を受けたりした歯科医師は自身で行うことが可能です。
診察や治療の予約をする際に、歯科医師に尋ねてみて、歯医者嫌いの子供でも大丈夫か、何か工夫を行っているか質問してみると良いでしょう。
乳歯の虫歯を予防するコツ
虫歯を予防する方法のポイントは、まず歯磨きを徹底することです。
子供に歯磨きを教えるとともに、親が仕上げ磨きをしてあげましょう。
また、虫歯の原因となる甘いものを控えるのも効果的です。
食後の歯磨きを習慣にする
乳歯の虫歯を予防するためには、なんといっても歯磨きの習慣を身につけることが大切です。
なにか食べたら、そのあと必ず歯を磨くようにしてください。
親もいっしょに歯磨きを行って、「食後は歯磨き!」という習慣をつけましょう。
習慣は毎日の繰り返しによって形成されていきます。
あるときは磨き、あるときは磨かないといった環境では、習慣は身につきません。
「食事が終わったら歯を磨く」
そんな流れを意識できるように心がけましょう。
仕上げ磨きを行う
子供が歯磨きを終えたら、親がしっかりと仕上げ磨きを行うことも大事です。
乳歯が生え変わる6歳前後では、まだまだ完璧に歯磨きすることはできません。
そのため最後には親が仕上げ磨きをしてあげて、子供が自分1人でも正しい歯磨きができるよう、少しずつ教えるようにすると良いでしょう。
小学校へ上がる頃には、親に仕上げ磨きをしてもらうことに、抵抗を覚える子供も少なくありません。
しかし、可能であれば小学校低学年くらいまでは、仕上げ磨きすることをおすすめします。定期的にチェックを行うことで、虫歯の発生率を抑えることができます。
歯磨き粉は、大人用・子供用、また、歯科用・市販用でも成分に違いがみられます。子供の健康に悪い化学物質が入っていないかを確認して選ぶようにしましょう。
糖分を控えた食事・おやつにする
子供は甘いものが大好きです。
しかし甘いものには、多くの場合、大量の砂糖が含まれています。
この砂糖をはじめとする糖分は、歯垢にたまる細菌の大好物です。
口の中で繁殖するエサになってしまいます。
そのため、できるだけ糖分を控えた食事やおやつに、メニュー内容を切り替えるのもおすすめです。
たとえば、清涼飲料水(ジュース)を控え、お茶や水を飲むようにしたり、砂糖の量を減らして、ダシや塩分で補うことで、おいしい料理を食べさせてあげたりと、やり方はいろいろとあります。
親がいっしょになって行うことで、自然と子供も慣れていくはずです。
乳歯の虫歯はまず予防!そして早期発見を心がけましょう
子供が歯医者を怖がるのは、未知のものへの恐怖心と、先入観によるものだと考えられます。
普段から、歯医者に行くことをいたずらへの罰として使ったり、しつけの一環にしたりということは控えるようにしましょう。
もし、子供に虫歯ができてしまい、嫌がって歯医者になかなか行けない場合は、小児歯科がおすすめです。
また、無痛治療や短期集中歯科治療など、最新の歯科医療を検討すると良いでしょう。
なによりも、歯医者に行かずに済むような口内環境を維持することが大切です。
ぜひ、歯磨きの習慣と仕上げ磨き、糖分を控える生活を心がけてみてください。
子供も親も、虫歯で苦しむことのない快適な歯を維持するため、いっしょに虫歯予防に取り組んでいきましょう。
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- 子供は知らないものへの不安と先入観で歯医者を怖がる
- 乳歯の虫歯は永久歯に大きな影響を及ぼす
- 永久歯への生え変わりで虫歯がリセットされることはない
- 虫歯予防には歯磨きの習慣と甘いものを控える生活がポイント
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