子供の歯茎にニキビのようなものができたらフィステルかもしれません。フィステルが起きる原因や治療法をまとめました。
歯茎のフィステルとは?画像で確認
画像で見る歯茎のフィステルの症状
出典:かまくら歯科
子供の仕上げ磨きをしている時に、歯茎にニキビのようなものができているのを見たことはありませんか?
できていたら、それはフィステルの可能性が高いです。フィステルとは歯の根の先に溜まった膿が出てきたものです。
フィステルが破けて膿を出しきるとなくなり、また溜まると出てきます。下記は初期のフィステルの画像です。
出典:目で見るお口の百科 家庭の歯学/クインテッセンス出版株式会社.
初期は口内炎とあまり変わりがなく、見落としてしまいがちです。
しかし、そのままにしておくとどんどん膿が溜まり、フィステルも大きくなってしまいます。
やがてフィステルが破けると中に溜まった膿が口内に広がり、酸っぱいような味とともに口臭が発生してしまいます。
痛みがなければフィステルを放置してもいい?
フィステルの膿の袋は押しても痛くないことが多く、指で押してみるとぷよぷよして、中に芯などはなく、柔らかいことが多いようです。
痛みがないことが多いですが、まれに身体の抵抗力が落ちたときに、腫れと共に強い痛みを伴うこともあります。
しかし、痛みがないからといって放っておくと、根の先にたまった膿の袋が大きくなり、周りにある歯の根を溶かしたり、神経を死なせてしまうことがあります。
長い期間そのままにしてしまうと、治療が困難になり根を一部取らなければならなくなってしまうこともあります。
また、膿は血液によって身体中に運ばれてしまい様々な病気の原因にもなります。
子供の歯茎のフィステルの原因は?
虫歯を放置してしまった
虫歯になったまま放置しつづけるとエナメル質から象牙質、歯髄(神経)まで進行します。
歯髄(神経)まで進行すると激しい痛みを伴いますが、それも我慢し続け放置するとやがて痛みを感じなくなります。
痛みが感じられなくなると神経が死んだ状態となります。
神経が死んでしまうと歯根だけがのこり、痛みはなくても膿が発生します。
このまま放置し続けることでフィステルが発生してしまいます。
虫歯治療後の歯の経年劣化
虫歯治療で神経を抜いた歯は、歯の細部まで栄養が届かなくなるため、もろくなって根にヒビが入ったり、割れたりするリスクが高まります。
歯ぎしりや食いしばりもリスクを高め、神経の残っている健全な歯でもヒビが入るケースもあります。
割れたりヒビが入ると隙間から細菌が入り込み、歯根で繁殖します。
特に金属の土台が入っていたり、根の壁が薄いとヒビが入りやすくなります。
差し歯の場合には土台から撤去して、根の治療をやり直さないと完治ができない場合もあります。
虫歯で神経を抜く治療をした場合は、仕上げ磨きの時によくチェックしましょう。
歯をぶつけてしまった
子供はよく転び、どこかをぶつけます。ジャングルジムやシーソーなどの遊具で遊んでいるときに誤って転落するなどして、前歯をぶつけたりしてしまった場合、その時に神経が死んでしまうとフィステルができやすくなります。
神経が死んでしまった場合、神経を抜き消毒をして詰め物をします。ですがその時の消毒が不十分だったり、詰め物の経年劣化などにより、細菌が再び歯の中に入り込み繁殖すると、歯茎にフィステルができてしまいます。
多くは神経を抜き何年も経過したあと、歯茎にフィステルができるため、前にぶつけた歯が原因でフィステルが起きているということに、なかなか気づきにくいようです。
子供の歯茎のできもの、フィステルの治療法
フィステルは自然治癒するの?
フィステルは自然治癒しません。膨らんだ膿の袋がやぶけると、フィステルは一時的に口内からなくなりますが、治ったわけではありません。フィステルを治すには歯の根の中に膿が溜まっている状態の「根尖病巣(こんせんびょうそう)」という病気を治さないと、また膿が溜まりフィステルが出てきます。
根尖病巣は自然治癒で治りませんし、市販薬などもありません。治すには歯医者へ行き治療が必要です。治療の方法として下記の主に2種類の治療法があります。
フィステルの治療法-根管治療(こんかんちりょう)
根管治療は歯の一部を削り、中から膿を取り出す治療法です。
まずはレントゲンを撮って膿がどこにどの程度溜まっているかを確認します。確認が取れたら歯の一部を削ります。
削った後は歯根の先に溜まった膿を吸い出します。
膿がすべて取り除けたら消毒薬を入れてしっかりと消毒します。
消毒が終わったら詰め物をして見た目を整えます。
この時に場合によって差し歯になることもあります。ここまでの流れが根管治療です。
フィステルの治療法-歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)
通常は根管治療(こんかんちりょう)となりますが、根管が極度に曲がっていて器具が到達しない場合や、根管が枝分かれしている場合、通常の感染根管治療(かんせんこんかんちりょう)を行うのが困難とみなされます。
このようなときは歯ではなく、直接歯肉から歯根の先の膿の袋を取り出したり、歯を抜歯し根管処置を行ってから再度元の位置に戻すという再植法がとられています。
乳歯のフィステルの治療方法
先ほど2つの治療法を紹介しましたが、乳歯の場合は年齢や治療への抵抗などを考え、その子供に合わせた方法で治療を行えます。
●年齢も幼く、歯も小さく治療が難しい場合
年齢や歯の大きさから、歯を削るのが難しいと判断された場合は薬や治療で膿を出したり、消毒を繰り返します。その後治療ができるまで経過を見て、治療ができるようになったら根管治療を行います。
●治療ができる歯の大きさ・生え変わりまでまだ少しかかる年齢の場合
治療ができる歯の大きさの場合で、乳歯から永久歯への生え変わりがまだしばらく起こらないと判断される場合は、根管治療を行います
●永久歯へ生え変わる準備が完了している場合
レントゲンを撮ったときに、永久歯へ生え変わる準備が完了しているとみなされた場合は、抜歯してしまうことがあります。抜歯した後は永久歯が生えるスペースを確保するために、特別な器具を取り付けます。
●生え変わり間近の場合、そのままにして自然と抜けるのを待つ。
生え変わり間近の場合は無理に抜歯して、万が一歯並びが悪くなると良くないので、そのまま自然に抜けるのを待つことがあります。しかし、症状が重度ですと放置し続けたことにより、他の歯が虫歯になってしまうこともあるため、歯医者とよく相談することが重要になります。
まとめ
大人がフィステルになる場合は歯周病が原因とも考えられますが、小さい子供だと歯をぶつけてしまったことも、原因としてあげられます。
また、子供の年齢や状態によって歯医者では治療法を変えてくれます。
しかし、小児歯科以外だと根管治療ができるまで治療ができないとされることもあるので、フィステルの疑いがあればまず、小児歯科へ行った方がいいでしょう。