歯を磨かないでも虫歯にならない人がいるのはなぜ?

歯の健康にとても気を使っている人には信じられないかもしれませんが、世の中には男女問わず「歯磨きが大キライ!」という人がいます。
特に「一緒に暮らす夫が歯を磨かないので困る」という話はよく聞きますが、これは一体どうしてなのでしょうか?
また、そうやって歯磨きをしないでさぼっているにも関わらず、虫歯ができにくい人がいるのも不思議ですよね。そのあたりの謎を解明してみましょう。

歯を磨かないのに虫歯にならない理由

たいていの人は歯磨きをさぼると虫歯になります。
そのために、毎日「面倒だな」と思いながら一所懸命ゴシゴシ歯磨きするわけですが、幸運なことに、ほとんど歯を磨かなくても、歯磨きせずに寝ても虫歯にならない人もいます。

これはどうしてかというと、普通の人に比べて口の中のミュータンス菌が少ないからです。
「虫歯菌」とも呼ばれるミュータンス菌は1歳7ヶ月~2歳7ヶ月頃に最も感染しやすいのですが、この時期にあまりエサとなる砂糖を取らなかったり、大人から移される機会が少なかったりした人は、一生その状態を維持することができるのですね。
虫歯はミュータンス菌が糖分をエサとして酸を作り出すことによってできるので、もともとの原因が少なければリスクも減るというわけです。

また、生まれつき唾液の量が多い人も虫歯にはなりにくいです。
唾液が多ければ食べたもののカスがスムーズに流されるので、ミュータンス菌のエサとなるものが口内に残りにくいのですね。
もちろん、このような特徴を持つ人が必ず虫歯にならないというわけではありませんが、そうじゃない人に比べればはるかに有利なのは間違いないでしょう。

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歯はできるだけ磨いたほうが良い

もし、あなたの大切な人が「歯を磨かなくても虫歯にならない」特徴に当てはまっていたとしても、やはり歯磨きは勧めてあげたほうが良いです。
というのも、先程もご説明した通り100%虫歯にならない人はいませんし、歯の手入れに無頓着な人は将来歯周病で歯を失う危険性が高いからです。

歯周病は歯と歯茎の間の歯垢をエサとしてミュータンス菌が増殖し、巣を作ってじわじわと歯根を溶かしていく病気です。
初期にはほとんど自覚症状がなく、出血や口臭に気付く頃にはかなり進行してしまっており、そのまま放置するとやがて歯が抜けてしまいます。

歯が丈夫な人はそうじゃない人に比べて歯科医院に行く機会が少ないので、歯茎に異常が起きていてもなかなか気付きません。
そうこうしているうちに、歯周病の巣である「バイオフィルム」は歯磨きでも取れない頑丈なバリアを形成し、血液に乗って全身に毒素をまき散らしていきます。
歯周病は単に歯を失うだけでなく、心臓病や脳卒中などの恐ろしい病気も引き起こすのです。

ぜひ、こうしたリスクについて詳しく説明し、歯を磨くことの大切さを伝えてあげてください。
上から目線で叱責するのではなく「あなたが大切だから心配している」というニュアンスで話をすれば、素直に耳を傾けてくれるかもしれませんよ。

歯を磨かない、磨きたがらない人の心理

「歯を磨くのが嫌」「歯磨きしないで寝る」と聞くと、思わず「だらしない人なのかな」という印象を抱いてしまいますが、実はそう単純な話ではありません。口の中というのは人間の体の中でも特に敏感な場所なので、ここにハブラシを入れたり、フロスを使ったりするのがどうしても嫌と感じる人もいるのです。

たとえば、嘔吐反射の激しい人。
このような人は歯医者さんでの治療にも恐怖心を感じる場合が多いのですが、ちょっと奥のほうにハブラシを入れただけで「オエッ」となるので、歯を磨くたびに苦しい思いをするわけです。

また、これまでに歯を磨くことで嫌な思いをしたせいで、歯磨きがトラウマになってしまった人もいます。
幼少時に親に無理やり押さえつけられて力任せに磨かれたとか、歯を磨いていたら急に詰め物や差し歯が取れて大変な思いをしたとかですね。

もちろん、ただ単に「面倒だから磨きたくない」という人も大勢いますが、中にはこのような事情を抱えている場合もあるということです。

おわりに

歯を磨かない人の心理や、なぜか虫歯にならない人の特徴について、いかがでしたか?
頑張って磨いてもすぐに虫歯ができてしまう人にすれば非常にうらやましい話ではありますが、口の中のお手入れをさぼっていれば、いずれその代償を払う時が来ます。
歯周病にかかると治すのに長い時間が必要な上、重大な病気を引き起こす可能性もあるので、きちんと磨くことの大切さを教えてあげましょう。