あなたの周りで前歯が黒くなっている子供はいませんでしたか?歯が黒いのはサホライドという虫歯の進行止めを塗ったからです。
サホライドは虫歯の進行を止めてくれる、とてもよいものなのですが、後悔する人が多くいます。
サホライドのメリット・デメリットとともにサホライドを使わない方法をご紹介します。
サホライドとは?サホライド治療の手順やメリットデメリット
出典:目で見るお口の百科 家庭の歯学/クインテッセンス出版株式会社.
サホライドとは歯科治療が困難な子供や、来院の難しい高齢者の方の虫歯や知覚過敏に使用される薬品です。
サホライドはフッ化ジアミン銀の液体のため、虫歯予防に効果があるフッ素と殺菌効果のある銀が含まれています。
●サホライドの仕組み
サホライドを虫歯になったところに塗布すると、サホライドの成分である銀が虫歯に吸着して、虫歯の進行を止めます。
液体自体は透明ですが、銀が虫歯にくっつくと酸化するので、虫歯だった部分が黒くなります。
黒くなっても虫歯が進行したわけではないので安心しましょう。昔から健康保険に適用されている歯科治療法です。
しかし、歯が黒くなることから嫌がるお母さんが多いです。
サホライドを塗らないといけないと言われた場合にはメリットとデメリットを理解してから塗るようにしましょう。
■サホライドを歯科治療で使用する手順とメリット・デメリット
サホライドを歯科治療で使用する手順は下記です。
①患部の歯垢を除去
②患部をエアーで乾燥させる
③サホライド塗布
④照射器で光を照射させ、サホライドが黒くなったことを確認
⑤約3カ月ごとに歯医者で塗布
●メリット
一般的な歯科治療と違い、削ることもなく時間もかからないため、じっとしていられなかったり、騒いだり暴れてしまい、治療が困難と判断された幼児に使用されます。
また、保険に適用されているため、治療費用も安く済みます。
●デメリット
サホライドを塗布した部分の歯は真っ黒に変色してしまいます。
出典:目で見るお口の百科 家庭の歯学/クインテッセンス出版株式会社.
塗った直後になめてしまうと、唇などに色がついてしまうことがあります。
また、銀が含まれているため、子供が金属アレルギーの場合は使用を控えましょう。
しかし多くはサホライドを塗って治療ができる年齢や状態になるまで様子を見て、治療ができるようになったら治療をし、自然な歯の色に戻すことが多いです。
永久歯が生えるまでずっとこのまま…というわけではなく、きちんと治療ができるようになるまでのつなぎだと考えましょう。
■サホライドは2歳の虫歯にも使用されるの?
幼児の虫歯にサホライドを使用するときは歯科治療が困難だという場合や削るほどの虫歯でない場合が多いです。
●奥歯の虫歯
サホライドは黒くなってしまうため、前歯よりも目立たない奥歯など見えないところに使用します。奥歯であれば仕上げ磨きのときなどには見えてしまいますが、日常生活ではほとんど見えません。
また、奥歯の虫歯の治療は口を長時間開けなくてはいけないため、子供が疲れてしまったり、途中でぐずってしまうことがあります。奥歯の場合は短時間で終わるサホライドを塗布することが多いでしょう。
●前歯の虫歯
前歯の場合には通常は詰め物をすることが多いです。
しかし、前歯は哺乳瓶虫歯のことが多く、1,2歳でひどい状態まで虫歯が進行してしまうことが多いです。1歳でもこのようになってしまいます。
出典:目で見るお口の百科 家庭の歯学/クインテッセンス出版株式会社.
1、2歳だと歯科治療が困難だと判断される場合が多いでしょう。
治療ができるようになるまでのつなぎとして一時期にサホライドを塗布することがあります。
治療ができるようになるまで気長に待つか、小児歯科など幼児に慣れている歯医者へ行き治療が可能かどうか聞いてみましょう。
小児歯科でない場合は3歳をすぎても治療困難と判断されることが多くあります。
サホライドを塗った歯を白くしたい
■サホライドの落とし方・白くする方法
サホライドの着色は、自然に取ることはできません。サホライドを落とそうと一生懸命歯磨きをしたり、塗布をやめても白く戻るということはありません。よくてグレーくらいになる程度で元の色には戻りにくいとされています。
サホライドを塗った部分を白くするならば、歯科治療が必要です。虫歯の部分を取り除き詰め物をするという治療をしなければなりません。
つまり、子供を治療可能な状態にしなければならないのです。
●子供を治療可能な状態にする
歯科治療ができるようになるには個人差があり、子供が歯医者に慣れているかどうか、歯医者が子供に慣れているかどうかなどにもよります。一度サホライドを塗ったのであれば、定期的にサホライドを塗りながら歯医者への恐怖心を取り除き、治療ができるまで待ちましょう。
また、幼児に慣れている小児歯科へ行くと、サホライドを塗らないでうまく歯科治療を行ってくれる場合もあります。
サホライドは塗った部分が黒くなりますが、子供は意外と黒くなった歯を気にしていないことも多くあります。
■黒くならないサホライドはないの?
サホライドのような虫歯の進行止めで、黒くならないものはありません。
幼児虫歯にサホライドを塗って後悔しないために
■幼児に慣れている小児歯科で診てもらう
小児歯科だと子供の治療に慣れているため、他の歯医者では治療困難と判断される場合でも、小児歯科だと治療可能な場合が多くあります。子供の虫歯治療には小児歯科へ行くといいでしょう。
もし治療可能な場合は、虫歯の部分を削り、詰め物をする治療を行う可能性が高いです。サホライドを塗った後のような黒い歯にならず、自然な歯の色になるかと思います。
■定期健診へ行き子供を歯医者に慣れさせる
子供は慣れていない人や場所に行くと泣いてしまうことがあります。泣いてしまうと治療が困難になるので、定期健診へ行き歯医者に慣れさせましょう。
定期健診に行くことで子供の歯の状態を診てもらえるだけではなく、子供を歯医者さんに慣れさせることもできます。また、虫歯菌は親から移りやすいため、子供の検診と一緒に母親の検診もしてもらうとよいです。
■虫歯菌に感染させないように気を付ける
虫歯菌は唾液を通して親から感染します。同じ食器を使ったり、キスをしてしまうと子供が虫歯菌に感染してしまうので気を付けましょう。
しかし、親が見ていない間に子供がおばあちゃんの箸を舐めてしまったりすることもあるので、周りの大人の口内をケアすることが大切です。
■歯磨きをしっかりする
●歯磨きの回数
サホライドを塗るような状態にさせないためには虫歯にならないように歯磨きをしっかりとすることが大切です。
食事を取るごと(1日3回)に歯磨きするのが難しい場合は朝夜に1回ずつ(1日2回)だけでも歯磨きをする習慣を身につけましょう。
夜寝ている間は一番菌が繁殖しやすい時間です。
夜歯磨きをしないで寝てしまうと、食べかすだらけの状態に多くの菌が繁殖している状態なので、一番虫歯になりやすくなります。
朝も同じように繁殖した菌が口の中に残ったままの状態なので歯磨きをした方がいいでしょう。もし1日2回が厳しいようであれば、せめて夜寝る前の1回は必ず歯磨きをしましょう。
●磨き残しを防ぐ
歯磨きの回数が多くても、磨き残しが多くなってしまうと虫歯になってしまいます。
歯磨きの歌に合わせて「上の歯~下の歯~」と磨いていくと磨き残しがなくなります。
出典:おやこCAN 特集:大切にしたい!子どもの歯/学研.
磨き残しを防ぐことは虫歯を防ぐことにもつながります。きちんと磨いていきましょう。
まとめ
サホライドを使いたくないのであれば、まずは虫歯にならないようにしましょう。
虫歯になってしまい、治療が困難だと判断された場合はサホライドを塗る可能性もあります。
サホライドを塗った場合は治療ができるようになるまで待ったり、幼児でも治療をしてくれるような小児歯科へ行きましょう。