子供も歯周病になる!?知っておきたい歯周病の原因と治療法について

歯周病は大人の病気だと思われてきました。しかし今、子供たちの間にも、歯周病はひろがってきています。
「えっ!子供も歯周病になるの?」と思ってるお父さんお母さん!子供の歯を守るため、子供の歯周病の原因や予防法、歯周病になってしまった場合の治療について、必ず知っておくべきことをお伝えします。

子供も歯周病になるの?原因は?

大人も子供も、歯周病の一番の原因になるのは、プラーク(歯垢)です。
プラーク(歯垢)とは一般的に歯の表面に付着した黄白色を帯びた粘着性の細菌のことをいいます。歯垢(プラーク)は食べ物の残りかすや、糖分などを栄養源として急速に増え、歯に定着すると歯石となり、歯槽膿漏や歯肉炎など歯周病の原因になります。
歯磨きができていないとプラーク(歯垢)が歯の表面だけでなく、歯周ポケットと言われる歯と歯茎の間にも溜まっていき、そのままにしていると石灰化し歯石へと変化してしまいます。

磨き残し

歯と歯茎の間にプラーク(歯垢)がたまる

細菌が増殖

歯茎の内部が炎症

歯周病の進行

というように、磨き残しから歯周病へと進んでしまうのです。

ですので、大人だけでなく、子供も生まれつき免疫力が弱い場合や、歯磨きをしなかったり磨き残しが多い場合には、歯周病になってしまいます。
また現代では食生活の変化で、粘着性の高い柔らかい食物が多くなっているのも原因とされています。お菓子や清涼飲料などをとりすぎる子供にも歯周病が多く見られます。子供が歯周病になってしまうと、大人より早く進行するので注意しなければなりません。
歯周病は痛みなどの自覚症状がほとんどありません。気づかないうちに進行してしまってるので、サイレントディジーズ(静かなる病気)と呼ばれてます。
数十年かけて少しずつ進行し、歯のグラつきや痛みなどの自覚症状がでるのは大人になってからになります。そのため大人しかならない病気と思われてますが、その多くは子供の頃の歯肉炎(*)から始まり、悪化してしまったことがほとんどです。
(*歯肉炎とは、プラーク(歯垢)のなかで歯周病菌が毒素を出し、その毒素によって歯茎が炎症を起こして腫れたりする症状のこと)

子供も歯周病になるということは、乳歯でも歯周病になるの?と不安に思いますよね。
ずばり、乳歯でも歯周病になります。
歯周病菌は歯と歯茎のすき間で増えます。歯周病菌は、お父さんやお母さんから赤ちゃんにうつっても、歯が生えてなければ生きられません。そのため歯周病菌が口の中に住みつくのは、乳歯がはえる生後6カ月頃からとなります。
乳歯がはえそろう頃が、歯周病になりやすい期間といわれています。永久歯にかわる時期も注意が必要です。また奥歯の4本は6歳頃に、そのさらに奥の4本は12歳頃に生えてきます。奥歯は歯磨きがしにくいので食べかすが残りやすいので、菌が増えて歯周病になりやすいのです。丁寧な歯磨きで食べかすがないよう気をつけてあげましょう。

お父さんお母さんなら必ず知っておきたい歯周病の予防法

歯周病の予防にはまず歯周病の原因である歯垢を取り除くことが大切です。正しい歯磨きの方法で、歯垢のない清潔なお口にしておきましょう。

お父さんお母さん必読!正しい歯磨き6つのポイント
■歯ブラシ選び
歯の大きさに合わせた歯ブラシ、毛先のやわらかい歯ブラシ、毛先が広がっていない歯ブラシを選ぶとよいでしょう
■歯と歯茎の間のプラーク(歯垢)を意識して磨く
歯ブラシの毛先を、歯と歯茎の間に入るようなイメージで歯磨きするとよいでしょう
■優しく歯磨き
毛先がしならない程度に軽い力で歯磨きをしましょう
■小刻みに動かす
歯ブラシは小刻みに動かすように、1本ずつ丁寧に磨くとよいでしょう
■寝る前の歯磨き
就寝中は唾液が減り、歯周病が進行しやすいです
寝る前にしっかり食べかすを落とすよう歯磨きするとよいでしょう
■歯間ブラシ、デンタルフロス
歯ブラシでは取りきれない歯の間の汚れは歯間ブラシやデンタルフロスを使うとよいでしょう

家族みんなでこまめに歯磨きをしてお口を清潔にしておくことが大切です。また、ちょっとくらい歯茎が腫れてても、子供だから大丈夫!と思っていないで、気づいたらすぐに歯医者さんへ連れて行ってあげましょう。
歯周病を悪化させないためにお父さんお母さんが出来る歯磨き以外のこともあります。以下の項目にも気をつけてみてください。

■食生活に気をつける
■かみしめ、食いしばりをやめる
■鼻呼吸を心がける
■歯医者さんで定期的に歯石をとってもらう
■感染するので、口移しや食器の使いまわしは絶対しない

ただし歯周病予防の第一は歯磨きです。今日から、歯周病から子どもの歯を守るための歯磨きを始めてみてくださいね。

歯周病の治療ってどうやるの?

歯周病は歯茎の炎症から始まり、進行すると骨を溶かしていきます。歯茎の炎症だけの段階であれば十分に治る可能性があります。しかし骨が溶けだしてしまうと、溶けた骨は戻ることはないので、元通りに治ることはありません。歯周病はいかに進行を止めるかが大事になってきます。そして歯周病の進行段階により適した治療法が選択されます。かかりつけの歯医者さんや歯周病専門医に相談してみるのがよいでしょう。

どんな治療法があるか下記項目を参考にしてください。
■歯磨き指導
初期の歯肉炎の患者さんにおこないます。人によってお口の環境が違うので、その人にあった正しい歯の磨き方の指導を受けます。この時期は自宅でのケアがとても大事になるので、歯磨きの方法がわからなかったら、何度でも担当の歯医者さんや衛生士さんに聞くとよいでしょう。
■スケーリング
軽度の歯周病と言えるでしょう。「スケーラー」という器具を使って普段自宅でおこなってる歯磨きでは取り除けない、プラーク(歯垢)や歯石を取り除いていきます。この時期も自宅でのケアが大事なので、歯磨きでわからないことがあれば、スケーリングをしてくれる衛生士さんなどに相談するとよいでしょう。スケーリングは歯のお掃除になるので、麻酔がいることはありません。
■ルートプレーニング
スケーリングで除去しきれなかった、歯と歯茎の奥深くにこびりついたプラーク(歯垢)や歯石を「キュレット」という器具を用いて除去します。同時に、スケーリング後のザラついた歯面をなめらかに仕上げることで、汚れの再付着を防ぎます。このくらい深い位置になってくると麻酔を使うことがあります。
■歯周ポケットそうは術
軽度~中等度の歯周炎に対して行う外科的な処置です。麻酔を使って歯と歯茎内のプラークや歯石、膿、感染した組織を除去していきます。麻酔を使用し、術後は痛み止めや抗生物質が処方されます。
■フラップ手術
中等度以上の進行した歯周炎に対して行う外科的な処置です。麻酔をした後に歯茎を切開して顎の骨からはがし、歯根に付着しているプラーク(歯垢)や歯石を除去します。また、感染した組織も取り除いていきます。麻酔を使用し、術後は痛み止めや抗生物質が処方されます。

治療の段階をおうごとに大変になっていくのがわかりますよね。歯周病にならないためにも、子供の頃から歯周病ケアを始めておきましょう。

まとめ

子供でも歯周病になるので、定期検診で磨き残しをチェックしてもらうことをおすすめします。歯医者さんで磨けていない所を教えてもらったら、その場所から磨き始めるようにするとよいでしょう。歯を支える歯茎や骨、予防して大切にしましょう!