2歳になると乳歯も生えてきて、成長が嬉しい反面、虫歯のリスクも高まります。
2歳児の虫歯がどんな状態なのか。虫歯を黒くする進行止めのサホライドとはなにか。2歳の虫歯治療に適した歯医者さんの探し方などをまとめました。
2歳の虫歯は白い?画像で見る2歳児の初期虫歯の状態
2歳になると、ある程度奥歯が生えてきます。
歯と歯の間や奥歯のかみ合わせの部分に虫歯が発生しやすくなります。画像は奥歯の初期の虫歯です。
出典:目で見るお口の百科 家庭の歯学/クインテッセンス出版株式会社.
●2歳児の初期虫歯が白濁、白いのはなぜ?
なぜ初期虫歯は白いのでしょう。
虫歯というと黒や茶色のイメージがありますよね。
初期虫歯は歯の表面が壊れているので白い状態なのです。
これは乳歯であれば2歳児であってもそうでなくても同じです。
こちらの画像で言うところのC1の状態が初期虫歯です。
虫歯菌がエナメル質まで到達するとエナメル質を溶かしてしまうため、エナメル特融の光沢感がなくなり白濁とした色になります。
つまり、白濁とした白い部分を見つけたら虫歯の第一歩と考えましょう。
この段階であればフッ素塗布や毎日の歯磨きをしっかりと行い、再石灰化(溶けた歯を元に戻していくこと)させることで改善することができます。
■2歳の茶色の虫歯はどんな状態?
出典:目で見るお口の百科 家庭の歯学/クインテッセンス出版株式会社.
これらの画像のように茶色い線などが入ってくると、象牙質まで虫歯菌が進行した状態(C2)になります。
象牙質はエナメル質よりさらに内側にあります。
出典:目で見るお口の百科 家庭の歯学/クインテッセンス出版株式会社.
象牙質は酸に弱いので急に虫歯の進行が早くなり、あっという間に歯の神経(歯髄)まで到達してしまいます。
そのため、茶色や黒の点や線を見つけたらすぐ歯医者さんへ行き、治療をしてもらいましょう。
●虫歯が進行すると茶色や黒くなるのはなぜ?
初期虫歯は白いのになぜ虫歯が進行すると黒くなるのでしょうか。
それは虫歯菌が象牙質に入り込み、象牙質までもが破壊されるとたんぱく質が分解され、炭素ができることで黒や茶色に変色するためだと言われています。
■2歳児でも虫歯だらけになるの?
2歳児でも虫歯はあっという間に広がっていきます。
特に前歯の虫歯は最初に前歯2本だけだったとしても、横の歯に広がり最終的には乳歯全部が虫歯になるなんてことも起きやすいです。
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上の画像は2本だけが虫歯になっている状態です。その後も放置し続けるとどんどん虫歯は広がっていきます。下の画像は3歳頃の虫歯の画像です。
出典:目で見るお口の百科 家庭の歯学/クインテッセンス出版株式会社.
乳歯は永久歯に比べて神経までの距離が短いため、あっという間に虫歯だらけになってしまいます。
また、乳歯が深刻な虫歯になってしまうと、永久歯の成長にも影響を及ぼします。
乳歯だからすぐ生え変わるから大丈夫と思わずに、乳歯虫歯は放置せず、きちんと治療をしていきましょう。
2歳虫歯の進行を止めたい
■2歳虫歯を黒くし進行を止めてくれるサホライド
虫歯になってしまうと治療が必要なのですが、年齢の幼さや子供が歯医者を嫌がることにより、2歳児は歯医者での治療ができないと判断されてしまうことが多いです。
その時はサホライドという虫歯の進行止めを塗ります。
サホライドとは治療が困難な子供の虫歯や、削るほどではない小さな虫歯に使用される液体です。
サホライドにはフッ素と銀が含まれています。
虫歯になったところに塗布すると銀が吸着して、虫歯の進行を止めます。液体自体は透明ですが、銀が虫歯にくっついて酸化するので、虫歯だった部分が黒くなります。
出典:目で見るお口の百科 家庭の歯学/クインテッセンス出版株式会社.
黒くなっても虫歯が進行したわけではありません。
痛みも出なければ、歯医者にかかる時間は早く済み、費用も少なくて済むため、サホライドは昔から健康保険に適用されている治療法です。
■サホライドを塗りたくない場合
サホライドを塗りたくないのであれば、子供を歯医者治療可能にさせるのが一番の方法です。
子供を歯医者治療可能にさせるにはいくつか方法があります。
●夜の授乳をやめて虫歯にならないように気を付ける
2歳児の虫歯の原因はほとんどが夜授乳したまま寝てしまったことが原因です。
夜授乳した後、歯磨きをせずに寝てしまうと寝ている間に口内の細菌が繁殖し、虫歯になりやすいとされています。
もし、まだ虫歯になっていなくて夜の授乳を続けているのであれば授乳はやめた方が良いでしょう。
1歳頃から少しずつ卒乳していくのが一般的とされています。
夜寝る前に飲み物を与えたいときは白湯やお茶などに移行していくのがおすすめです。
●子供を歯医者に慣れさせる
子供を歯医者に慣れさせるためには定期健診に行くのが一番いいでしょう。
子供は人見知りをします。初めて会う人には泣いてしまうことも少なくないです。
定期健診で定期的に歯医者に通わせると、虫歯の有無の確認ができます。
また、検診だけなら痛い思いをしなくて済むので、歯医者へのマイナスなイメージを植え付けることなく、歯医者に慣れさせることができます。
●子供に慣れている歯医者へ行く
子供に慣れている歯医者であれば、年齢が低くても見ることが可能な場合もあります。
もし、今の歯医者で治療が不可能と判断され、サホライドを塗ることになったのであれば、子供に慣れている歯医者へ連れていくという方法もあります。
2歳の虫歯治療は小児歯科へ
■小児歯科とは
お医者さんに内科、外科、小児科、婦人科、胃腸科、整形外科などがあるように、実は歯医者も一般歯科、小児歯科、矯正歯科、口腔外科など、大きく分けて4種類に分かれています。
小児歯科の場合は小児を対象に診療を行っている歯医者なので、子供の扱いにはとても慣れています。
もし、近所に小児歯科があるようならその歯医者で診てもらうとその子供に合った対処法や治療をしてもらいやすいです。
■子供に慣れている歯医者・歯科医の探し方
●日本小児歯科学会のホームページから探す
日本小児歯科学会のホームページ(http://www.jspd.or.jp/)で小児歯科専門医のいる歯医者を検索することもできます。
●近くの歯医者に電話で確認を取る
小児歯科と看板などに書いていない場合でも、電話で子供の年齢や状態を伝えて、治療可能かどうかの確認を取ることもできます。
2歳児で虫歯になると虫歯も広がりやすく、永久歯の成長や歯並びにも影響を与えることがあります。
また、虫歯治療をしてもらうために歯医者へ行っても、治療困難、治療不可能と見なされることが多いです。
すると、サホライドを塗ることになり、歯が真っ黒になってしまいます。
子供の歯を白く健康に保ちたいのであれば、まずは虫歯にさせないように気を付けることが重要です。
また、虫歯にさせてしまった時のためにあらかじめ小児歯科や、子供に慣れている歯医者へ定期健診に通うとよいでしょう。
まとめ
2歳児の虫歯は初期の白いうちに気付き、対処しましょう。
茶色くなってしまうとどんどん虫歯が広がり、虫歯だらけになります。
治療ができない場合には虫歯部分が黒くなる進行止めを塗ることになってしまうので、日頃から定期健診に通い、虫歯にならないように気を付けましょう。