親なら必ず知っておきたい、虫歯にならないおやつの与えかた

1日3回の食事だけではとりきれない栄養とエネルギーを補うために子供にはおやつが必要です。ただおやつが原因で子供に虫歯を作りたくないですよね。
だからと言って、子供の栄養源であり、楽しみであるおやつを取り上げてしまっては意味がありません。
そこで子供にどのようなおやつを与えたら良いのか、まとめてお伝えします。

必読!虫歯になりにくいおやつはどんなの?

子供は目覚ましい成長・発育をしています。朝、昼、晩と食事を3回とり1日に必要なエネルギーだけでなく、「成長・発育のためのエネルギー」も必要となります。
子供は体を動かすエネルギーに加えて、成長・発育するためのエネルギーを食事から取る必要があります。
しかし、子供の胃や腸は小さくて消化も未熟なため、大人のように一度の食事でたくさん食べることができません。そこで、食事だけではとりきれないエネルギーを補うためにもおやつが必要になります。
みなさんはどんなおやつを食べさせてますでしょうか?おやつはおいしく楽しく食べたい。でも虫歯は作りたくないですよね。どのようなおやつが虫歯にならなく楽しく食べてもらえるか考えてみましょう。

虫歯は、歯の表面についた歯垢(プラーク)に、虫歯をつくるミュータンス菌がすみつき、糖分を栄養にして酸を出します。細菌が住みついたネバネバが、歯を溶かして虫歯になるのです。
ですから、虫歯の元となる糖分の摂取をおさえることも虫歯予防の1つの手段となります。
糖分は、普段の食事にも含まれていますので、食事以外のおやつで糖分をとることをなるべく控えましょう。

残念ながら、子供たちが大好きなケーキやチョコレート、キャンディーのような砂糖がいっぱいの甘い食べ物は、虫歯になりやすいです。
上手に食べることで虫歯につながらないようにしましょう。以下項目を参考にしてみてください。

おやつの比較

■歯垢(プラーク)の出来やすさ

高い⇒キャラメル、キャンディー、ガム、ウェハース、大福、カステラ、ビスケット、ようかん、甘納豆、お饅頭、チョコレート、クッキー、かりんとう、ケーキ、ジャム、ゼリー
中 ⇒バニラアイス
低い⇒ポテトチップス、せんべい、エビせん、人口甘味料使用のお菓子

■酸の出来やすさ

高い⇒キャラメル、キャンディー、ガム、ウェハース、大福、カステラ、ビスケット、ようかん、甘納豆、ケーキ、ジャム、ゼリー、お饅頭、チョコレート、クッキー、かりんとう
中 ⇒バニラアイス
低い⇒ポテトチップス、せんべい、エビせん、人口甘味料使用のお菓子

■歯へのくっつきやすさ

高い⇒キャラメル、ウェハース、大福、カステラ、ビスケット、ようかん、甘納豆、ポテトチップス、せんべい、エビせん、人口甘味料使用のお菓子
中 ⇒お饅頭、チョコレート、クッキー、かりんとう
低い⇒キャンディー、ガム、ケーキ、ジャム、ゼリー、バニラアイス

■口の中にとどまる時間

長い⇒キャンディー、ガム
中 ⇒キャラメル
短い⇒ウェハース、大福、カステラ、ビスケット、ようかん、甘納豆、お饅頭、チョコレート、クッキー、かりんとう、ケーキ、ジャム、ゼリー、バニラアイス、ポテトチップス、せんべい、エビせん、人口甘味料使用のお菓子

前述したようにミュータンス菌は糖分を栄養とし、酸を作り出して歯を溶かします。
この酸は、基本的には唾液の作用で中和されますが、中和されるには、実は40分以上もかかります。
ダラダラとおやつを食べたり、正しい歯磨きをしないと中和が追いつかず、いつまでも口の中でミュータンス菌が酸を作り続けてしまいます。
お口の中が酸性である時間が長ければ長いほど、虫歯になるリスクが高く、また、糖分をとる回数が多ければ、虫歯になりやすくなります。
逆に言うと低ければ虫歯になりにくいと言えるのです。

チョコレートと虫歯

チョコレートは子供も大人も大好きなおやつです。ただ、歯垢(プラーク)や酸がとても出来やすいので、残念ながら虫歯になりやすいおやつの1つです。
ですが、歯医者さんが考えたチョコレートがあるのを知っていますか?

スーパーやコンビニに置いてあるものには砂糖がたっぷり入っていますが、歯医者さんが考えたチョコレートに使われている甘味料は「キシリトール」なので、口の中に入れてもミュータンス菌のエサになることはありません。
また、キシリトールには初期虫歯の進行を抑えたり、歯の再石灰化を促したりする力があるので、食べるだけで丈夫な歯を作ることができます。
本来であれば、食べれば食べるほど虫歯になりやすいチョコレートで虫歯予防ができてしまうのですから、こんなにうれしいことはありませんよね。

ただ、原料にこだわって作られている分、値段はどうしても高めになります。普通の板チョコは1枚100円ぐらいで買えますが、歯医者さんが考えたチョコレートは1袋600円前後(約60g入り)。
これを「高い」と感じるか「歯医者さんで治療費を支払うことを考えれば安い」ととらえるかは人それぞれです。試しに買ってみるのもよいでしょう。
「虫歯にならないチョコレート」の場合は特に食後のケアは必要としませんが、普通のチョコレートを食べさせた場合は、必ずうがいや歯磨きをするようにしましょう。
外出先でこうしたケアが難しい時には、お茶を飲ませたり、キシリトール入りのガムを噛ませたりしてみて下さい。
もし、これらのケアをなにもしないで放置していると、チョコレートの糖分をエサとして増殖するミュータンス菌がじわじわと酸を作り出し、少しずつ歯の表面を溶かしていきます。

特に、時間を決めずにだらだらと食べ続けるのは最悪です。口の中には自浄作用があるので、一時的に酸性になったとしても唾液によってアルカリ性に戻りますが、いつまでも食べているとこの働きがうまくいかないので、当然虫歯になりやすくなります。
子供にだらだら食べの習慣をつけさせないためにも、おやつは時間を決めてあげるようにしましょう。「虫歯にならないチョコレート」の場合でもそれは同じです。
小さな子供には「どのおやつなら良い、悪い」というのはまだ分からないので、おやつ=決まった時間に食べるものとルールを決めたほうが小さい子供には理解しやすいでしょう。

アイスクリームと虫歯

他にも大好きなおやつがあると思いますが、子供に人気なのがアイスクリームです。
アイスクリームを食べさせるなら、夜は避けて日中に与えるようにしましょう。お風呂上りは体温が上がっているので冷たいものを食べたくなりますが、夜は昼間よりも唾液の量が減っているので、虫歯になるリスクが高くなってしまいます。
湯冷ましに与えるなら、糖分を含まない麦茶やお水が良いでしょう。

唾液の多い昼間に食べさせる場合でも、できればすぐに飲み物を飲ませたり、うがいをさせたりして、歯に付着した糖分を洗い流すようにしましょう。

飲み物と虫歯

おやつと一緒に飲む、飲み物にも注意をしましょう。
子供に与える飲み物で避けたほうが良いのは、イオン飲料、果汁飲料、炭酸飲料、乳酸飲料などです。
炭酸飲料の場合は「無糖タイプなら問題ない」と考える人もいますが、名前に「酸」がつくことからも分かるように口の中を酸性にしてしまう性質があるので、与えすぎれば虫歯のリスクは上がります。また、果汁飲料には「果糖」が含まれているので、100%だから安全ということはありません。

砂糖の魅力には大人でも逆らうことが難しいので、小さな子供なら一度味を覚えてしまえば際限なく欲しがります。できれば、ミュータンス菌の感染リスクが高い3歳頃までは避けたいところですが、熱を出して水分補給をする必要のある時などは仕方ないですよね。
どうしても与えたい時は、あくまでも緊急時かご褒美ということにして、普段は砂糖を含まない水や麦茶をあげるよう心がけましょう。

キャンディーと虫歯

子供との外出時などに、よく持ち歩くキャンディー。飴も歯垢や酸ができやすく、口の中でなめている時間が長いので虫歯になりやすいです。子供に与えるキャンディーを選ぶ時は「シュガーレス」と表示してあるものを探してみましょう。

シュガーレスのキャンディーには、砂糖の代わりに「キシリトール」「ソルビトール」「エリスリトール」「還元水あめ」などが含まれていますが、これらは糖類に水素などを加えて作った「糖アルコール」です。甘さはちゃんと感じるのに酸を作らないのが特徴で、普通のキャンディーに比べると虫歯ができにくいキャンディーであると言えるでしょう。コンビニやスーパーに行くと、キャンディーのコーナーに「キシリトール入り」と書かれたパッケージのものが置かれています。

キシリトールは単に虫歯の原因にならないというだけでなく、歯の再石灰化を促して虫歯の発生や進行を防ぐ効果もあるので「これなら安心」と思ってしまう人も少なくないでしょう。
しかし、このような製品には麦芽糖や果汁が含まれている場合が多く、これらは虫歯の原因となります。
また、キシリトールが虫歯予防に力を発揮するには最低でも50%以上配合されていることが必要なので、キシリトールが使われている製品だからといって「子供に与えても安心」とは言いきれないのです。

キャンディーを選ぶ時は、原材料名やキシリトールの配合量をよくチェックするようにしましょう。
口の中に酸を作り出す原因となる食べ物が入っても、それが全部なくなってしまえば唾液の働きによって口内は徐々に中性に戻ります。

キャンディーのようなずっと口の中で味わう食べ物の場合は、この中和作業ができにくいのです。
1個だけでも危ないのに、続けて2個……3個……と食べてしまえば、どうなるかは明らかですよね。
小さな子供はまだ「もっと食べたい」という欲求を抑えることができないので、キャンディーを与える時は必ず親が管理をするようにしましょう。
そして、キャンディーを食べた後はできるだけ早く歯磨きをさせたり、お茶を飲ませたりして糖分を洗い流します。仕上げに、歯医者さんで売られている「キシリトール100%」のガムを噛ませると、より安心です。

おやつみたいに甘いのに虫歯菌が除去できる歯磨き粉とは

砂糖の代用となる甘味料ってどんなの?

味覚の中でおいしいと感じるのが砂糖だそうです。
また甘味はエネルギー源となる砂糖などの糖類のシグナルになっています。つまりエネルギー源かどうかを見分けるために、甘味を感じる必要があります。
疲れたときに甘いものが欲しくなるのは、理にかなっています。砂糖は必要なエネルギーとしてとることも大切です。
しかし、砂糖は虫歯になる酸を作るので、なるべくとりたくないですよね。そこで砂糖の代わりとなる甘味料に注目が集まっています。

ただし、砂糖以外の甘味料すべてが虫歯にならないというわけではないので注意しましょう。子供におやつを食べさせるときや、おやつを手作りするときに、虫歯になりにくい甘味料を選んでみましょう。

■虫歯の原因になる甘味料

砂糖
果糖ブドウ糖液糖

■虫歯の原因になりにくい甘味料

転化糖
果糖(フルクトース)
ブドウ糖(グルコース)
麦芽糖(マルトース)
水あめ
グルコオリゴ糖
フラクトオリゴ糖
イソマルチュロース
異性化乳糖

■虫歯の原因にはならない甘味料

マルチトール
ラクチトール
エリスリトール
還元水あめ
キシリトール
アスパルテーム
サッカリン
ステビア
パラチノース

市場にはあいまいな表記、基準がはっきりしてないものもあります。
原材料をみてみると、意外と虫歯の原因になる甘味料が入っていたりします。沢山ある甘味料を覚えておくのは大変なので、幾つかのマークを覚えておくとよいでしょう。

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特定保健用食品(厚生労働省)
⇒「体脂肪がつきにくい」「お腹の調子を整える」「虫歯の原因になりにくい」など、特定の保健の用途の表示を消費者庁が許可した食品のマークです。
・虫歯にならない甘味料70%以上、そのほかの砂糖以外の甘味料を30%以下使用。
・虫歯になりにくい甘味料を100%使用。

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歯に信頼マークトゥースフレンドリー協会
⇒「食べてから30分以内に歯垢のpHを5.7より下に低下させないお菓子」すなわち、むし歯のことを気にせずに、いつでも安心して楽しめるお菓子に「歯に信頼」マークをつけることを認定し、むし歯のメカニズム並びに「歯に信頼」マークの持つ意味の啓蒙活動を通じ、日本におけるむし歯の発生の減少に寄与するものです。
(引用:http://www.toothfriendly-sweets.jp/index.html

買い物行った時に、お子さんと一緒にマークを探しながらおやつ選びをすると楽しく虫歯予防ができますよ。

おやつを食べても虫歯にさせない歯磨き粉「ブリアン」

よく手に取るシュガーレス、ノンシュガー、キシリトールってどんなもの?

店頭には「シュガーレス」「ノンシュガー」と表示された食品が多く並べられていると思います。このような強調表示された食品は、栄養改善法に基づく「栄養表示基準制度」で定められた基準を満たしていなければなりません。
1998年4月1日から次のように義務づけられました。

●「シュガーレス」=「ノンシュガー」

食品に含まれる単糖類・二糖類が0.5%以下のもの。現在は、「シュガーレス」と「ノンシュガー」は同じ意味として使われています。

ではなぜ「シュガーレス」「ノンシュガー」なのに甘いのでしょう?
表示に起用される「シュガー」や「糖分」には、砂糖だけではなく、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖などの単糖類、二糖類も含まれます。
「無糖」、「シュガーレス」「ノンシュガー」なのに甘いのは、パラチノースやキシリトールなど、それ以外の甘味料が入っているからです。ですから「シュガーレス」「ノンシュガー」と表示されている商品は、虫歯になりにくい甘味料を使用していることになります。

他に「甘さ控えめ」などという表示も見かけることが多いでしょう。けど「シュガーレス」、「ノンシュガー」とは異なり、きちんと定められた基準はありません。よって、これらの糖類の含有量が少ないわけではないので気を付けましょう。

「キシリトール」はどうでしょう?みなさん、知らず知らず普段からキシリトールが含まれているガムなどを食べているのではないでしょうか?「キシリトール」とは、白樺、樫などの樹木から生成される天然の甘味料です。味は、爽やかな清涼感のある味で、甘さも砂糖と同じくらいです。しかしキシリトールは甘さが持続しません。カロリーはちょっと少なめです。(2.8kcal/g)
どうして「キシリトール」は虫歯になりにくいと言われているのでしょうか?
■ 歯垢(プラーク)を作る材料にならない
■ 酸を作らない
■ 歯垢(プラーク)の量を減らしてくれる
■ 歯磨きで歯垢(プラーク)を落としやすくする
■ ミュータンス菌を減らす
■ キシリトールの甘さが唾液を分泌させ再石灰化を促す

キシリトールが含まれるものには、キャンディー、ガム、チョコレート、アイスクリームなどがあります。
唾液が出て、さらに口の中で長くとどまるガムが一番オススメです。こういった点からも、ガムは虫歯予防に良いのです。ただし、「キシリトール」が50%以上入ったものの方が虫歯予防が期待できます。
「キシリトール」は食べ物にも含まれていることを知っていましたか?イチゴ、ほうれん草、カリフラワーなどの身近な食べ物にも含まれています。

オススメのキシリトールガムには、ベトベトした歯垢(プラーク)をサラサラにする効果があります。
歯磨きする前にガムを噛むことによって歯垢(プラーク)が落ちやすくなります。

● 100%キシリトールガムの場合

1日3回食後の歯磨き前に1粒を噛むと良いでしょう。
ガムの味がなくなっても10分ほど噛むと唾液の作用により歯の再石灰化が期待できるでしょう。

「シュガーレス」「ノンシュガー」「キシリトール」は、虫歯に絶対にならないというわけではありません。食後のただしい歯磨きがとても重要です。毎日の生活に上手く取り入れることで、お口のケアを習慣化させ、虫歯を予防できたらいいですね。

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まとめ

だらだらと甘いおやつばかりを与えることは、むし歯をできやすくする原因になります。
時間と量、甘味料などを見定めながら与えてあげてください。親がしっかり管理することが重要です。おいしくて虫歯にならないおやつが、大事な栄養とエネルギー源となってくれるでしょう。